小学6年生、中学3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
この時期はそれぞれ進路も決まり、厳しかった受験も終了し、ゆったりとした日々をお送りのことと思います。
今回の「ひのき通信」ではそんな新中1、新高1の皆さんへ、ちょっとだけ気がキュッと引き締まるようなメッセージをお送りしたいと思います。
【新中1の皆さんへ】
小学校ご卒業おめでとうございます!4月からはピカピカの1年生ですね。新しい出会い、部活の開始などをワクワクしながら待っていることと思います。そんな皆さんにここでは学習面のお話を少し。
中学では何といっても定期テストが始まります。小学校では昨日習った内容を今日かんたんなテストで確認するという形が多かったと思います。もちろん中学生になっても日々の確認テストは実施されますが、中学での主要なテストは、約2カ月の学習内容を2~3日かけてテストする「中間テスト」「期末テスト」と呼ばれる定期テストです。範囲が広く、最近では応用問題なども出題されるようになり、以前に比べて難しい問題に取り組む必要が出てきています。そしてこの定期テストの点数が中学校での皆さんの成績を大きく左右するものとなります。成績は小学校と同じように「知識・技能」「思考力・表現力・判断力」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されますので、テストの点数だけで決まるわけではありませんが、この定期テストの点数が基礎資料になることは間違いありません。
そして中学ではこの観点別の3段階の「評価」(これは小学校と同じ)をもとに5段階の「評定」と言われるものが通知表に載ることになります。これがいわゆる内申点で、高校入試に密接に関係してくるものなのです。何事も最初が肝心。中1の最初の中間テストには全力で取り組んでください。
教科についても少しみておきましょう。
数学は最初の正負の数・文字式がとても大事な単元になります。特に文字式。数字を文字におき変えるだけなのですが、算数の時「何となく」分かった状態で計算していたりすると、文字式でたちまち困ってしまいます。たとえば「1個100円の消しゴムをa個でいくら?」と云うような、考え方が非常に単純な実感しやすいものについては、数字が文字に変わっても「100×a(円)」とすぐに分かりますね。ところが「100円のx%引きはいくら?」と聞かれたらどうでしょう?20%と言われれば0.2を掛けたり割ったりして、もっともらしい数値が出てくれば解けたような気にもなりますが、相手が文字だと割合のしくみをはっきりと分かっていないと式を立てられません。「100×(1-x/100)円」と答える自信はありますか?
英語については本格的に4技能の学習が始まります。小学校では基本的に「聞く」「話す」が中心で「読む」「書く」については、せいぜい「意味がわかる」「書き写すことができる」に留まっていました。ところが中学では本格体な「読む」「書く」技能が要求されます。小学校で耳で慣れ親しんできた表現に文法的な裏付けをしていかねばなりません。さらに小学校で2年間、教科として英語を学習してきたと云う前提で教科書が編集されていますので、以前と異なり最初の中間テストから苦労する生徒が続出する状態になっています。また小学校で600~700語の単語を習得したことになっています。語彙力に自信のない人はまず語彙力の充実から始めましょう。
(中学英語については2022年11月20日付のひのき通信「大きく変わった中学英語」もご参照ください。)
数学・英語はいわゆる積み上げ型の教科ですので、1年生の内容が分からないと2年生の内容の学習に支障が出てしまいます。
一方、理科・社会は単元が独立していますので、1年生の学習内容が2年生や3年生の学習内容に直接結びつくわけではありません。と云うことは学習がスパイラル式になっていないと云うことです。数学では2年生の連立方程式を学習するときに自然に1年生の1次方程式の復習をすることになります。ところが理科では2年生の「電流」の学習時に1年生の「音・光」を(自然には)復習することにならないのです。
それぞれの単元をしっかり理解していかないと3年生になっていざ受験勉強というときに1年生・2年生の学習内容をすっかり忘れてしまっている、なんてことが起こりかねません。理科は大きく物理・化学・生物・地学の4単元に分かれ、それが1年から3年までの3学年分あるわけですから、12単元の学習をしなければなりません。中3になってから慌てても高校入試には間に合いません。1·2年生で地理歴史を3年で公民を学習する社会も理科と事情は同じです。数学・英語とは異なった意味で、1年生のうちからしっかり学習しておかねばならないのです。
(理科・社会の勉強法については2022年9月27日付のひのき通信「高校入試 理社の勉強法」をご参照ください)
【新高1の皆さんへ】
中学校ご卒業おめでとうございます!新高1の皆さんは、内部進学の方を除けば、ほぼ全員が厳しい受験勉強を経て、晴れて高校生になったわけです。
しばらくは高校生活を楽しみ、青春を謳歌したいところかもしれませんが、なかなか現実はそうとばかりも行きません。
いまこの記事を読んでいただいている高校生およびその保護者の皆さまの多くはその先の大学受験まで考えていることでしょう。
大学入試については、いずれひのき通信でも詳しく記事にしようと思っておりますが、取り敢えずいまは学校推薦型・総合選抜型の比重が大変高まっていることを知っておいてください。私立に限ると6割程度の受験生がこの型の入試を利用して、大学生になっていってるのです。
これが何を意味するかというと高1の最初の定期テストから気を抜いてはいけないと云うことです。推薦型・総合型の出願要項には「全体的な学習成績の状況」という言葉が出てきます。これは3年間の全教科の評定平均のことです。つまり高1の1学期の中間テストからが評価の対象になるということです。これは5点満点になっており、国立難関大では5~4.3、その他の国立·人気私立大では4.2~3.5程度の評点が要求されます。
保護者の皆様の世代の感覚だと「受験勉強は高3になってから」と思ってしまうかも知れませんが、いまの大学受験事情は保護者の皆様の時代とは大きく異なっています。高1の最初の定期テストから全力で向かわなければならないのです。
更にはこの変化は「数学苦手でも捨ててはいけない」と云う事態を招きます。数学を捨ててしまうと大学受験が「私立文系」一般入試一択になってしまうのです。これも保護者の皆様は「昔から数学苦手な人は、数学とは高2で縁を切って、英・国・社で受験したものだよ」と思われるかもしれません。一般入試が一般的だった時にはそれでも良かったのですが、今は少し事情が異なります。
大学を国公立/私立、理系/文系と大雑把に分けた時、ある資料によると学生数は私立文系約52%、私立理系約26%、国公立文系約10%、国公立理系約12%という比率になるそうです。上記のように、私立大学では一般入試で受験するのはいまや約40%ですから、私立文系に一般受験で臨む人数は52%の40%つまり全体の約20%と云うことになります。大学の間口が約1/5になってしまうのです。
いま大学は、募集人員>応募者数になっており、えり好みをしなければどこかの大学には入れる状況、になっています。とは言え、どこでも良いから入れれば良い、と云う乱暴なことを考えている人はそんなに多くはないはずです。高校生活を通じて「やりたいこと」「興味があること」が出てきた場合、それを実現するための大学は、なるべく多くの選択肢から選びたいものです。そのためには一般入試型・学校推薦型・総合選抜型のどのタイプの入試形態も利用できるような成績を残していけるような高校生活を送りましょう。
高校の学習は中学までとは大きくレベルの異なる学習になります。
それぞれの科目が細分化され、それぞれの学習内容が専門分野の準備レベルになってきます。よってすべての教科で高得点は難しいかもしれません。得意な教科は高得点を目指し、不得意な教科についてはそこそこの点数を確保する、と云うスタンスで良いと思いますが、不得意な科目でも最低でも平均点以上はとるつもりで学習を続けましょう。
いろいろと書いてしまいましたが、4月以降は楽しいこともいっぱい待っているはずです。新しい環境に早く慣れて、素敵な中学生活・高校生活を送ってください。
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