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高校入試 理社の勉強法

2022年09月27日 11:00:00

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イベントその他

英・数・国に対して理科・社会の学習はどうしても後回しになりがちな人が多いのではないでしょうか。しかし公立高校の入試において、この5科はすべて100点満点で同等の扱いをうけます。また私立高校の推薦あるいは併願優遇を受ける場合の基準においても理科・社会の評価は大変大事になってきます。

そこで今回は、この理科・社会の学習方法についてみていきましょう。

学習法についてみる前に、東京都・神奈川県で実際の入試問題においてどの程度の点数をとれば良いのかを確認しておきましょう。

先ず東京都です。以下の表は、最近6年間の東京都の「受検者平均点」です。点数の分かる年度については(少しデータが古いのですが)独自問題校(進学重点校etc)の得点も記載しておきます(独自校でも理科・社会の問題は他の高校と同じものを使用します)。年により凸凹は有りますが、受検者全体では55点~60点あたりが平均であることが分かります。また独自問題校では、都立西でほぼ9割、都立武蔵で8割近い得点が必要であることが分かります。中堅上位程度の学校でも7割、難関校なら8~9割の得点が必要になってきます。

次に神奈川県です。
こちらは受検者平均ではなく、合格者平均になっています。5年間の結果を見てみましょう。
理科社会ともに平成30年度の平均が極端に低くなっていますが、ここ2~3年の数値をみると、やはり最低でも6割の得点が必要になってきそうですね。こちらも都立高校と同様、中堅上位程度の学校でも7割、難関校なら8~9割の得点が必要だと思っておいた方が良いでしょう。

学校の定期テストとは異なり、入試問題は範囲のない総合問題として出題されます。最近の過去問をみると、大変広い範囲の中から、かなり細かい部分に注目した出題になっていることもあります。例えば2022年度の都立高校の地理に関する出題では、
世界地図のなかに「コスタリカ」「ペルー」「マレーシア」「フィリピン」の位置が示され(もちろん国名は明示されません。位置のみです)日本のその国からの輸入額の変化と、各国の貿易相手国の変化を表で示し、そのうえで問題となる国の説明が文章で与えられ、この国は何処か?
と問う問題がありました。文章をしっかり読めば、フィリピンについての説明であることが分かり、輸入総額の数値に関する説明もあるので、正解には辿り着けるようにはなっているのですが、選択肢に上げられている国々がなかなか細かいですよね。ひと昔まえなら、ここに必ず「ドイツ」や「フランス」がひとつは入っているものでした。
以前に比べ、細部に気を配ったきめ細かい学習が必要になってきていると言って良いでしょう。

こうした問題で中堅校狙いでも7割、難関校を含む上位校では8~9割の得点が必要になってくるわけです。「理社は3年の部活が終わってから本腰を入れれば間に合う」などと思っていると残り半年では「間に合わない!」状態になってしまう危険がありますよ。

範囲のあるテストと、範囲のない(中学での学習範囲が全て範囲の)テストは全く違うということを良く認識しておきましょう。

 

では、理科社会の勉強方法について簡単に触れておきましょう。

【理科】
ひとくちに理科と云いますが、この教科は高校になると「物理」「化学」「生物」「地学」に分かれます。つまり4つの教科をまとめて理科と呼んでいるわけです。理科に苦手意識をもっているひとは多いかも知れませんが、まず自分は理科の何が苦手なのかをはっきりさせてから対策に取り掛かりましょう。また理科は単元ごとに独立性の高い教科でもあります。同じ物理の中でも「光・音」「電流とそのはたらき」「力学」はそれぞれ独立していると言って良いでしょう。「物理苦手だなぁ~」ではなくもう一歩突っ込んだ分析をしてみてください。さらに同じ単元内でも、例えば「電流」であれば「オームの法則」の理解が不十分なのか「発熱量」がいまひとつなのか、電流関連は大丈夫だけれど「磁界」が絡んでくると分からなくなるのか、で学習の重点の置き方が全く変わってきます。取り敢えず自己分析をしてみてください。どこが苦手なのか分からない場合は、ワーク等の「まとめの問題」などを解いてみましょう。教科書を読んで分からないところを探すより先ず問題に当たって、何が解けないのか確認したほうが確実です。

また違う視点で見ると、理科は大きく分けて、知識系の問題と数理処理を要する問題になります。理科が苦手と云うひとはどちらかと云うと数理処理が苦手と云うひとが多いと思いますが、理科の場合、複雑な計算が必要になることはほぼありません。また中学理科にでてくる法則類も非常にシンプルなものに限られます。まず法則・ルールをしっかり理解しましょう。そのうえで数理処理をする問題に当たってみてください。同じような問題をなるべく多く解きましょう。理科の計算問題は種類が限られています。最初は「難しい」という印象を持つかも知れませんが、分かってみると実は簡単な場合も多いのですよ。

数理系の問題は物理・化学と考えるひとが多いと思いますが、最近は生物・地学でも数理処理を要する問題が散見されるようになっています。生物で言うと「蒸散量の問題」「呼吸によって体内に運ばれる酸素量の問題」etcです。後者などは問題文でいろいろな前提が与えられ、その条件の下で計算することになりますので、文章をしっかり読み取る力が必要になってきます。また地学の問題では「天体の問題」「湿度の問題」「地震の初期微動継続時間の問題」などで計算して答えを出す問題が多く見られます。こちらも出題される内容は限られてきますので、法則・ルールをしっかり理解したうえで数多くの演習問題を解くようにしてください。

 

【社会】
理科ほどではないですが社会も大きくいくつかの単元に分かれますね。「地理」「歴史」「公民」です。乱暴な言い方をすると、社会は「とにかく覚えれば良い!」のです。ただ、たいへん広い範囲にわたります。やみくもに覚えていこうとすると大変効率の悪い話になってしまいます。学習の順序としては、「地理」→「歴史」→「公民」と進むのが順当でしょう。地理があたまに入っていないと「歴史」が実感できないのではないかと思います。トルコの位置を知らないと何故バスコ=ダ=ガマが喜望峰周りの航路を開拓したのか分かりにくいし、なぜコロンブスがインドを求めてわざわざ西に向かって出航したのかも不明ですよね。

地理では主要な地名とその場所は必須です。ついでにその地域についての事柄も一緒に覚えましょう。例えば中部地方について学習するとしましょう。中心都市は愛知県の名古屋ですね。名古屋を中心とする工業地帯は「中京工業地帯」で、中心的な産業は自動車です(なんといってもトヨタですね)。またこの工業地帯の南部はゼンソクで有名な(あまり名誉なことではありませんが…)四日市です(巨大な石油化学コンビナートがあります)。また中京工業地帯の東隣には静岡県を中心とした「東海工業地域」があります。浜松を中心としたオートバイ、また富士山の伏流水を利用した製紙・パルプ業も盛んです。中部地方の日本海側は伝統的工芸品を土台にした地場産業が発展しています等々。地図を頭に思い描きながら地域全体をセットで覚えましょう。ちなみに最近は「四大工業地帯」より「工業地域」の出題が多くなってきています。「瀬戸内工業地域」「東海工業地域」「北関東工業地域」など、場所・特長などをしっかり覚えておきましょう。

歴史については良く言われることですが「流れ」で覚えることです。
まず時代区分ですね。これはしっかり身につけましょう。次に、やはり主要な歴史的事件は年号で覚えておくのが良いでしょう。いま学校では年号を教えることも少なくなっています(教科書で年号が太字になっているのをみたことがありません)が、入試問題に良く出てくる年代整除の問題に対しては、年号が一番確実です。語呂合わせでも構いません。そして年号だけでとらえきれないところについては「歴史の必然的な流れ」を理解しておきましょう。例えば幕末~明治初年にかけてのわずか数年の間に起こった出来事を年代順に並べる問題があった場合、頭から丸暗記していたのだけではどうしても間違いやすくなってしまいます。

幕府が朝廷に政権を返した(大政奉還)があったればこそ、
  ↓

領地と領民を諸大名が天皇に返上することになり(版籍奉還)
  ↓
それでも旧藩主が引き続き藩の政治を行っていたの止めさせる為に藩を廃止して県をおいた(廃藩置県)、

と流れで覚えておけば順序を間違えることもなくなります。

最後に公民です。まず政治の仕組みをしっかり理解しましょう。中央政府と地方自治の仕組み、選挙制度についてなどを理解しておきましょう。また三権分立に関連して立法・行政・司法の違いも把握しておきましょう。それと日本国憲法の3つの柱「基本的人権」「国民主権」「平和主義」についての理解は外せませんね。また最近では新しい人権に言及されることも多くなっています。プライバシーに関する権利などの新しい人権の理解も深めておいてください。

公民は基本的にいま生きている私たちの社会生活についての全てが範囲といって良いので、時事に関する知識が要求されます。テレビのニュースなども親子で見る機会を持つとよいでしょう。別に個々の案件について論評する必要はないでしょうが、いま世界で何が問題になっているのかには常に気を配っておくという姿勢は必要かと思います。

経済についてはこれまで難しい出題はありませんでしたが、2022年度からは高校でも投資に関する教育が義務化されています(家庭科で株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を教えるそうです)。今後は経済の問題も要注意かも知れません。昨今の情勢をみると、円安・円高の問題なども出題されるかもしれません。

以上、簡単に理科・社会についてみてきました。冒頭にも書きましたが、公立高校の入試において理科・社会とも100点満点のテストです。理社で全体の4割の得点を占めます。そしてこれは強調しておきたいのですが、勉強の仕方によっては英語・数学よりも高得点の望める教科です。中1・中2の皆さんはもちろんのこと、中3生でも今からでも遅くはありません(確かに時間との戦いではありますが・・・)、ぜひ理社の学習に時間を取ってください。皆さんの健闘を祈ります。
 

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