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小学校英語②

2023年05月02日 15:00:00

カテゴリ:
イベントその他

昨年の12月の記事「小学校英語①」の続編です。

前回の記事は▼こちら▼
https://www.hinoki-net.com/info/list/detail/n/531/

前回は小3・小4について書きましたので、今回は小5・小6の英語についての記事をお届けします。

次の4つの点に着目してみます。
Ⅰ.小4までの「聞く」「話す(やりとり)」「話す(発表)」「読む」「書く」を加えた4技能5領域の学習になる。
Ⅱ.従来の中1の学習内容が扱われる。文法の説明は出てきません
Ⅲ.小学校卒業時に習得しておくべき単語が600~700語
Ⅳ.国語や算数と同様、成績のつく「教科」になる。

ひとつずつ見ていきましょう。
 

Ⅰ.学習内容が4技能5領域に
どんな授業が展開されるのでしょうか。代表的な教科書のひとつNEW HORIZON Elementary 6のUnit1 This is me!」を例に見ていきましょう。これは小6の一番最初の単元です。
このユニットの目当て(Our Goal)は「名前や好きなこと、誕生日を発表しよう」です。

1ページ目には世界の子供たち7人が登場します。QRコードで音声を再生することによりそれぞれの子供が「名前、出身地、話す言葉、好きなもの、誕生日etc」を喋っていることを聞くことができます。最初の課題は、誰のセリフかを当てることです。

同じページに「Let's Sing」「Let's Chant」のQRコードも用意されており、先ほどの自己紹介が「Hello everyone」という歌のかたち「Where are you from?」というチャンツの形で繰り返されます。
小5・小6でも先ず「聞く」が最重要の技能とされているのですね。

次のページでは教科書の登場人物になりきって自己紹介をする練習をします。その際も先ず聞いてそれを真似るという順序で学習を進めます。

またここまでのページにはそれぞれ下段に「Let's Read & Write」という欄があり、このUnitで習得目標の表現である「I'm Emily.」「I'm from Singapore.」「I like dogs.」「My birthday is May 5th.」という文がひとつずつ練習できるようになっています。

そして最後のページでは「自分についてのスピーチをしよう」となっており、「Let's Read & Write」で練習した4文を改めて「聞き」その文を見ながら「読む」練習をします。その後、名前等を自分の情報に置き換え「私のセリフ」として用意されたプロフィールカードに書き、クラスの友達と伝え合ったり、発表したりする練習をします。

文科省が公表している指導要領あるいはその解説書には「音声で十分に慣れ親しんだ」という表現がいたるところに出てきます。たとえば「読むこと」についての目標としては「音声で充分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かる(読める)ようにする」となっていますし、「書くこと」の目標としても「大文字及び小文字を正しく書き分けること、語順を意識しながら、語と語の区切りに注意して、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする」などとなっています。
小5・小6では「読む」「書く」技能が入ってくるのですが、飽くまで「音声で充分に慣れ親しんだ表現」を読んだり、書き写すという活動になっているのです。

ここまでを4技能に即してまとめると、まず「聞く」があり、それに基づく形で「読む」「書く」練習をし、「話す(やり取り)」「話す(発表)」ことにより、成果を確認するという流れになっているようです。


Ⅱ.従来の中学での学習内容が下りてきている
NEW HORIZON Elementary 6では

・I'm Emily. I like dogs. のようなbe動詞、一般動詞の文章

・Where are you from? How is your school life? What is your best memory? のような疑問詞の文

・I can help you. などの助動詞が入った文

・I enjoyed camping. I went to Kyoto in June. などの過去形

・I want to join the valleyball team. などの不定詞を使った文

・I enjoyed talking with my friends. などの動名詞を使った文

など様々な文法表現が出てきます。ただ、これを文法的に説明することはありません

例えば過去形でもUnit4 Summer Vacation in the World」のなかで「夏休みの思い出を伝え合おう」と云う活動を通じて、自然にenjoyed、wentなどの表現が出てきます。
動詞にedをつけるだとか、不規則動詞は形が変わるなどの説明は一切出てきません。そういう表現だと云うことを覚えていきましょう、というスタンスです。
先ず日常生活の中で、子供が興味を持ちやすい状況を設定し、その中でコミュニケーションを図るためにはどのような表現があるのか、という視点で教科書が構成されています。

簡単な文法事項から始めて、少しずつ複雑な文法に移行しながら文章を読む・聞く術を身に付けていった保護者の皆様の時代とは大きく変わった、と言って良いでしょう。
 

Ⅲ.単語数が600~700
新しい指導要領では中学卒業時点での学習単語数は2200~2500語となっています(旧指導要領では1200語)。小学校では、そのうち600~700語を指導することになっています。

これも具体的な教科書(NewHorizon)に沿ってみていきましょうか。この教科書は小中合わせて約2300語を収録しています。そのうち1000語を基本語(読み書きできることを目指す単語=発信語彙)としています。小学校での学習語は630語とし、基本語は468語あります。つまり、小学校の段階で基本語の約半分が出てくるのです。もちろん小学生のうちに読み書きできるようにしなければいけないわけではありませんが、かなりな数の語彙に「音声的に慣れ親しむ」よう求められていることになりますね。
また単語以外にも、活用頻度の高い連語表現(get up、look at、be good at等)、慣用表現(excuse me、I'm sorry、I got it等)も指導するよう指示されています。

Ⅱで述べたように過去形や不定詞なども文法的に説明するのではなく、ひとつの表現として教えるわけですから、語彙力の充実が大きな目標になってくることは間違いありません。


Ⅳ.成績のつく教科になっている
これは保護者の方には一番気になる部分かもしれませんね。
新しい指導要領においては、小・中・高を問わず3つの観点「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」に沿って評価されます。
現場の先生方のために文科省が出しているガイドブックによると「その際、必要な資質・能力を育成するための学びの過程を通じて、筆記テストのみならず、インタビュー(面接)、スピーチ、簡単な語句や文を書くこと等のパフォーマンス評価や活動の観察、多様な評価方法から、その場面における児童の学習状況を的確に評価できる方法を選択して評価することが重要である」とされています。

さて上記3つの観点がどう活かされるのか、学校での具体例をいろいろと探してみました。その中で玉川大学大学院の名誉教授でいらっしゃる佐藤久美子先生がネットで示されていた例が、筆者にはとても分かり易かったので、ここでご紹介させていただきます。

佐藤先生は、英語で「県名あてクイズ」をする例を示されています。
・It's famous for~という表現を使って、ある県の名産品、自然条件などを3つ紹介します。それをヒントとして県名を「The answer is ~ Prefecture.」と英語で答えるゲームです。
こうした問題を生徒にたくさん作らせて、皆で「県名あてクイズ」をしましょういう活動です。

筆者が「なるほど」と思ったのは、その評価の仕方でした。
上記のように評価は3つの観点に沿って実施されるのですが、それぞれの観点で「大変よくできました=A評価」「よくできました=B評価」「もう少し=C評価」の3段階に評価されます。

さて「県名あてクイズ」の場合、「知識・技能」の観点では、例えばヒントがうまく作れているか、It's famous for~.という文がきちんと言えているかが、評価の対象となります。また「思考力・判断力・表現力」の観点では、ヒントを良く調べ考えられているかが評価の対象、さらに「主体的に学習に取り組む態度」の観点ではヒントを調べる際に積極的に図書館やネットを活用しているか、グループで協力しあっているかなどが評価の対象となるようです。
この活動は社会科とのコラボレーションにもなっていて、大変おもしろい取り組みだと思います。これなら、ペーパーテストに頼ることなく、3つの観点別の成績をつけることが出来そうですね。

ここでは簡単にしかご紹介できませんので、ご興味のある方はぜひ佐藤先生の記事を直接お読みください。「小学校英語 評価」などの文言で検索すると「小学校英語ではどうやって成績がつくの?」というページがヒットすると思います。上記以外にもいろいろな例を示されていて、とても参考になりますよ。

 

今回は、小5・小6の「教科としての英語」に注目してみました。
本格的な学習は中学校からですが、中学に入ってから遅れをとらないようにするには、先ず「聞く力」、次に「語彙力」が欠かせません。まず聞く力はフォニックスを身につけましょう語彙力については、先ず声に出して読めるように、そして次に書くことが出来る単語の量を少しずつ増やしていきましょう。

今春、小5になった人は後2年、小6の人でもほぼ1年あります。中学英語にスムーズに繋げるためにも頑張って英語の学習を続けてください。

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