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小学校英語①

2022年12月26日 12:00:00

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イベントその他

前回に引き続き、英語の話題です。
今回は小学校英語についてみていきましょう。

2020年度、小学校での英語の教育が大きく変化したのをご存知でしょうか?
小学での英語学習は2011年度(平成23年度)から始まっていたのですが、2019年までは小5·小6に対して「外国語活動」として授業とは別物(成績のつかない活動)として行われていました。それが2020年度の新学習指導要領の施行により、外国語活動が小3・小4に前倒しされ、小5・小6では国語・算数などと同様、成績の付く「教科」として授業が行われることになりました。

このため、小3·小4では年間35時間(概ね週1時間)、小5·小6では年間70時間(概ね週2時間)の授業が実施されることになりました。

今回の記事では、小3小4で始まった「外国語活動」についてご紹介していこうと思います。

2019年度まで、英語に「慣れ親しむ」ことを目標に、小5小6に対して行われていたものが、ほぼそのまま小3·小4に降りてきたとイメージしておけばよいでしょう。そして小5·小6についてはこれまで中1で教えられていたことの1部が降りてきて「外国語活動」と中学以降の「英語」の連携をよりスムーズにすると云うイメージでしょうか。

具体的に見ていきましょう。

小学校3・4年生の「外国語活動」では、主に「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」の「2技能3領域」を学習することになります。活動型学習がメインとなり、英語に慣れ親しむことを重視したカリキュラムになっています
小3·小4の「外国語活動」には検定教科書がありませんので、文科省が教材として提示している「Let‘s try!」を見てみましょう。

目次は以下のようになっています。

小3ではこの他、1~20までの数の数え方動物の名前形の名前などが、小4では食べ物の名前曜日の言い方文具の名前なども学びます。

またUnit6にアルファベットとありますが、これは指導要領で「文字のよみ方が発音されるのをきいて、活字体で書かれた文字と結びつける活動」と記されていることに対応するもので、文字の読み方(Aならエイ、Bならビー)を聞いてどの文字か特定する活動になります。書く練習はしません。

上記のような内容を、クイズ・歌・ダンスなどを通じて楽しみながら身に着けていきます。高学年以降の本格的な英語学習への意欲を向上させることが主な目的となります。英語でのあいさつや基本的な会話を声に出して学ぶ、コミュニケーション主体の授業となります。

ではどんな授業になるのでしょうか。例として、小3のUnit4「I like blue.」(4単位時間使用)について、文科省より提示されている指導計画案を見てみましょうか。

まずこの単元の目標として
が挙げられています。新指導要領で3つの学力として提示された「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性等」別に目標が掲げられています。大変難しいことが書かれていますが、学校の先生方に向かって文科省が示している『小学校外国語活動·外国語 研修ガイドブック(以下『研修ガイドブック』と略記します)』によると、「知識・技能に慣れ親しむことが大切である~(中略)~「知識及び技能」の定着を直接的なねらいにしているのではない」とか、思考力・判断力・表現力についても「正確性にこだわるよりも、むしろ、できるだけ多くの活動を体験させることにより、伝え合う力を養うことが大切」などと記されており、コミュニケーションを図る素地となる資質・能力の育成に重きを置いていることがわかります。

また英語の領域別の目標としては
となっています。

この単元では2技能3領域のうち「聞くこと」「話すこと(やり取り)」が目標になっていることが明示されています。前出の『研修ガイドブック』よれば「聞くこと」については「聞いた内容をイラストや写真に結び付けること」、「話すこと(やり取り)」については「十分に音声で聞いた句や表現を使うこと」などの注記があります。とにかく小3・小4の段階では、繰り返し「聞くこと」を通じて英語に慣れ親しむことが強調されています。

こうした目標を提示したうえで単元計画(授業の進め方)も細かに示されています。

「Let’s Listen」では、音声を聞いて当てはまるもの選んだりします。また、「Let’s Watch and Think」では、映像や教科書のイラストを見ながら考え、「話す」アクティビティに取り組みます。
また「Let’s Chant」では、チャンツのリズム(一定のリズムに合わせて)でフレーズを真似して言い、英語のリズム・表現を身に付けていくのです。

上記のような活動を通じて、英語特有のリズムやイントネーションを身につけていきます。また、日本と外国とでは生活様式・習慣・行事などが異なることにも触れていきます。虹の例などは文化の違いを教えるのに良い例ですよね。国が違うと虹の色って違うらしいですからね。このように、各国の違いを知り、多様な考え方が存在することを学習していきます。

「外国語活動」の目標は、外国語による聞くこと・話すことの言語活動を通じ、「コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成する」ことです。また外国語を学習することで「言語・文化への理解を深める」ことも意図されています。

文科省が示している「指導要領の解説」にも
中学年において十分に聞いたり話したりする経験をしておくことが,高学年の外国語科における五つの領域の言語活動につながる」と記されています。

今回はチョット堅苦しいお話になってしまいました。
小学校での「外国語活動」は週1時間程度、ゲームをしたり英語の歌を歌ったり、単に英語を使ったレクリエーションのようにとらえられたりしているかもしれませんが(そしてそれも間違いではないのですが)、実は綿密に考えられた指導要領に基づいて授業は行われているのです。これが高学年さらには中学・高校へと繋がる新しい英語教育の出発点になります。
学校での英語は、保護者の皆様が生徒・学生だった頃とは大きく様変わりしました。どう変わったのか、どう変わっていくのかを、ぜひ保護者の皆様もある程度は知っておいていただきたいと思います。

今回はここまで。

小3·小4での「慣れ親しみ」を経て、いよいよ小5·小6の「教科としての英語」に入っていきます。2020年度からの小5·小6は、「聞くこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」に加えて「話すこと」「書くこと」も学ぶことになります。

音声から入った英語を文字に繋げていくことになるわけです。旧指導要領を顧みて「課題が残る」とされていた部分でもあります。これについては稿を改めて、次回以降の「ひのき通信」でお知らせしていきます。「教科」になると「評価」が気になりますね。それもついても記事にしていく予定です。

 
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