新しい学年が始まりました。今回のひのき通信は主に新中3生を念頭に理科の話をしたいと思います。
以前にも書きましたが、中学の「理科」という教科は4つの教科からなっています。そう「物理」「化学」「生物」「地学」ですね。中1~中3のそれぞれにこの4つの教科が配されていますので、4×3=12の学習領域があることになります。
さらにひとつの学習領域がいくつかに分かれていたりします。例えば中1の物理領域の学習は「音」「光」「力」の3つの単元からなっていますから、実際に学習しなければならない単元数はもっと多いことになります。
また理科と云う教科は、それぞれの単元の独立性が高いという特徴があります。どういうことでしょう。例えば数学なら中2の連立方程式を学習する際に自然に中1の1次方程式の復習ができます。また中3の2次関数を学習すれば、1次関数の復習にもなります。英語であれば「過去形」を習えば、以降は文章の中に普通に過去形は出てくるし「進行形」などの他の文法事項についても同様です。このような英語や数学は「積み上げ型」などともいいますが、単元の学習が進んでいけば、その前に学習したことは自然に復習していることになるわけです。逆に前の単元の理解が不十分だと次の単元の学習に支障をきたすことになります。
ところが理科は違います。中1の「音」が分からなくても中2の「電流」が分からなくなるわけではありません。中2の「気象」が分からなくても中3の「天体」は十分理解できます(同じ地学なのに…)。単元の独立性が高いと云うのはこういうことです。そういう意味では学習しやすいともいえるかもしれません。社会についても、同様の傾向があります。
上記のように、英語や数学は前の単元内容を理解しておかないと次の単元の学習に支障が出ます。理社ではそのような制約をあまり考えなくても大丈夫。
というわけで、塾でも「まず中2までは「英語」「数学」を頑張って、中3で部活が終わったあたりから「理科」「社会」を追加履修しよう」などと云う発想になるのも故なしとはしないのです。
ただこれは、一面大変危険な発想でもあります。
上記のように中学で学ぶ理科は少なく見積もっても12単元に及びます。しかもこれらは互いにあまり関連性が高くないのです。先に、前の単元が分かっていなくても後の単元の学習には支障がない、といいましたがそれは翻って考えてみると英数のように後の単元の学習が前の単元の復習にはならない、と云うことでもあります。「電流」の学習が「音」の復習にはならないわけですね。当たり前ですが…。
そのため、中1で学んだ内容は下手をすると中3で本格的に受験勉強を始める夏休み前後まで全く振り返ることがなかった、なんてケースもあったりします。
学校の定期テストは原則として範囲を区切ったテストです。短期記憶で乗り切れます。
ところが入試はそういうわけにはいきません。
ここでチョット高校入試の出題単元を見てみましょう。右の表は都立高校の直近3年の出題内容です。大問1と大問2はいわゆる小問集合の問題です。各領域、各学年から満遍なく出題されている様子がよく分かります。正答率も低いのです。結果の分かっている2025年度と2024年度を見てみると、25年度大問1の中1の物理領域は46.8%、大問2の中2の地学領域は39.0%に過ぎません。24年度でも中1・中2の学習領域で50%以下の問題があります。厳しいですね。
また表には記載していませんが、大問3から大問6はそれぞれ「地学」「生物」「化学」「物理」に割り振られています。こちらは中2·中3の履修範囲からの出題が多くなっていますが、同じ中2生物でも「消化」(2026年度)だったり「細胞分裂」(2025年度)だったり「光合成」(2024年度)だったりと、広い範囲をカバーした受験勉強が必要になってきます。
理科はこうした教科特性をもっているため、中1・中2と理科の成績(テストも評定も)は良く、自分では「理科はできる」と思っていた生徒が中3になっていざ入試問題に触れてみると、中1・中2で習った内容をほとんど覚えていなくて、なおかつ復習しなければならない単元の多さに一種パニックになる、というケースは珍しくありません。
このように理科は、地道に以前の学習内容を振り返りつつ学習を進めなければならない教科なのです。これは社会でもある程度同じようなことが言えます。理科ほどではありませんが。
さて、ひのきでは全教室に自立学習システム「eトレ」を導入しています。これは生徒一人ひとりに合わせたプリントを出力してくれるシステムで、小1~高3までの主要全科目に対応し、30万ページ125万題の豊富な問題データベースから、目的に合った問題を次々に出力してくれます。
もちろん英語や数学などの演習にも活用していますが、理科・社会のような単元独立性の高い教科の学習に威力を発揮します。一斉授業ではなかなかカバーしきれない「自分の苦手な分野」の問題に集中して演習を進めることができるからです。「eトレ」の授業にはチューターが付きますのでわからないところがあればすぐに質問も出来ます。
塾での学習をうまく利用して、折に触れ過去の学習内容を振り変えるよう習慣づけるといいですね。
日々の学習を進めるときに、これは「積み上げ型」の教科なのか「単元独立性の高い」教科なのかをある程度意識することにより、より効果的な学習につながるのではないかと思います。
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