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グローバル教育①

2025年10月03日 16:00:00

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イベントその他

これまでこの「ひのき通信」では、新しい教育の流れとして「探求学習」「STEAM教育」について見てきました。今回は「グローバル教育」について見てみましょう。

「グローバル教育」には様々な話題がありますので、何回かに分けて考えてみたいと思います。

さて、いまやとてもポピュラーなものになった「グローバル教育」、言葉としても大変分かり易く、何となく分かった気分にさせられます。

ただ、よく考えてみると「グローバル教育」って「英語教育」と何が違うのでしょうか?「留学に力入れてます」とどう違うのでしょうか?それとも違わないのでしょうか?

 

そもそもグローバルって何でしょう?ちょっと考えてみましょう。

グローバル(global)とは英語の「globe」の形容詞形です。「globe」は元々「球体」を表す言葉で、そこから(球体である)地球のことも表すようになりました。この始まりは古く、一説によると1550年代にまで遡るそうです。ですが、日本で一般的になったのは1990年代以後に「グローバリズム」という考え方が喧伝されるようになってからではないでしょうか。それまでの「インターナショナル」や「ワールドワイド」などと云う言葉にはない「世界はひとつ」というニュアンスを込めた言葉だったように思います。

「グローバリズム」とは一般的には「国家や地域の独自性を越え、政治、経済、商業、文化などで単一の制度や仕組みを作っていこうとする考え方や姿勢」のことだと言われています。こうした考え方がある程度の現実味を帯びてきたのはインターネットの普及が大きな要因になっていると思われます。ネットにより世界が繋がり、個人単位でも世界とのつながりを感じられるようになりました。

本来は、「世界はひとつ」と言ってもそれぞれの地域の歴史による違い、風土の違いetcはあるわけですから多様性を内に含んだ「世界はひとつ」になるはずです。それらの違いを軽視するといろいろな軋轢が生じます。グローバリズムと云う言葉が使われ始めたころは何か未来志向のポジティブな意味合いを持った言葉として捉えられていたと云う印象がありました。しかし実際にグローバル化が進んでみると、移民問題をはじめとする様々な問題が生じてきたため、人々の中に必ずしも自分たちの幸せにはつながらないのではないか、と云う疑念が生じています。その結果、様々な国や地域で「自国中心主義」が勢いを増してきている様子が、報道番組によって日々伝えられています。

 

話があらぬ方向に行ってしまいました。

グローバル教育の話でした。言葉は同じですがそこに「教育」の文字がくっつくと上記の「グローバリズム」とは少し異なったニュアンスを帯びてくるようです。いまの時点で「グローバル教育」と云う言葉にネガティブな意味合いはまだ付着していないのではないでしょうか。

グローバル教育の概念自体は、1960年代後半にアメリカで提唱されたものです。「宇宙船地球号」などと云う言葉が使われ始めたのもこのころのことです。宇宙に飛び出したロケットから送られててくる丸い地球(グローブ)の映像が「ひとつの地球」という概念を人々に強く印象付けた時代でした。

一方、日本でグローバル教育への関心が高まったのは、少子高齢化による国内経済の衰退ビジネスにおけるグローバル化の不可欠性といった背景があります。
2013年の文部科学省による英語教育改革の公表は、小中高等学校を通じた英語教育の在り方を見直し、グローバル社会に対応できる人材を育成するための具体的な一歩となりました。やはり日本では「英語教育」がグローバル教育の出発点になっているのは間違いのないところです。

とはいえ、今やグローバル教育の目的は「英語」だけではありません。

◆世界規模で物事を考え、地球の一員としての認識を育むこと
◆SDGsのような持続可能な社会の実現に貢献できる人材を育成すること
◆変化の激しいグローバル社会に適応していく力を養うこと

などが、日本でのグローバル教育の目的として提言されています。
現在、日本の教育に求められているのは単に英語が堪能なだけではない「グローバル人材」を育成することなのです。

ではグローバル人材とは何でしょうか。文科省の定義を見てみると

◇要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
◇要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
◇要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

に加え、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等を兼ね備えた人材のこと、とされています。ほとんどスーパーマンですね。

みんながみんな、こうなるわけではないでしょうが「グローバル教育」の目標を端的に言うと、こういう人材を養成することになるのでしょう。

 

上記の文科省の定義を見ると、グローバリズムの「世界はひとつ」というメッセージより、グローバル教育においては「多様性」「異質なものへの理解」という側面に重きが置かれているようです。

現在、多くの学校でこうした能力を育成するために様々な取り組みがなされています。
国際バカロレア(IB)プログラムを取り入れたり、国際理解を促すコースや教科を設置したり、学校ごとに特徴ある取り組みがなされています。各学校のHPをみると、やはり「英語教育」「留学」「海外研修」という文字が目立ちます。

現在のところ、「まず英語を習得しましょう」という取り組みが一番多いようです。

 

今回はここまで。次回以降のひのき通信で、上記の「国際バカロレア(IB)」などのグローバル教育のためのいろいろな取り組みを紹介したいと思っております。

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