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高校入試-東京編

2023年09月29日 16:00:00

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イベントその他

今回のひのき通信は「高校入試-東京編」をお届けします。

先ず2023年度の入試を簡単に振り返った後、東京の高校入試の仕組みについて見ていきましょう。

先ずは2023年度都立高校の振り返りから。
都内の公立中学卒業予定者数は昨年より約1,300人増加し、それに伴い募集定員が推薦では197名、一般では519名増加しました。これに対して応募者数は推薦では106名の減少で倍率は低下、一般では男子が約490名女子が約240名の増加で、倍率は横ばいでした。都立高校は推薦・一般ともここ数年、志望倍率が減少の傾向にあります。

推薦および一般のここ数年の応募倍率をみてみましょう。

推薦では3.00倍(平成29年度)→2.47倍(令和5年度)、一般入試では1.50倍(平成29年度)→1.37倍(令和5年度)となっています。令和3年度に推薦入試の倍率が上がっていますが、これはコロナの影響で、受験生が苦手としている集団討論がなくなったために一時的に増加したものと考えられています。
ただこれはあくまで平均の話です。人気校については依然として厳しい入試が続いています。

推薦入試および一般入試の倍率上位5校を見てみましょう。

これは応募倍率ですので、実質倍率とは少し数字がズレますが、人気校では推薦で5倍~6倍、一般で2倍~2.5倍の高倍率です。一方で定員割れの学校も出てきており、人気校・不人気校の格差が目立った入試になりました。ここでご注意いただきたいのは人気校が上位校だけではないと云うことです。中堅校でも人気の高い高校がいくつもあります自分は高望みはしていないので大丈夫、とはなりませんのでご注意ください。

ではここで、一般入試の各科について見てみましょう。まず平均点です。

今年は5科の平均点が3年ぶりに300点を超えました。教科ごとにみると国語の上昇ぶりが目に付きます。もともと国語は平均点が高く、他の教科が概ね60点前後で推移しているのに対して、70点以上が4~5年続いています。今年はさらに点数が伸び、国語での失点は許されない状況を呈しています。

続いて各科の得点分布を見ていきましょう。

数学と社会については、比較的きれいな分布を見せています。数学ではピークは60点~64点、80点以上の受検者の割合が7.6%でした。社会は得点のピークが65点~69点、80点以上の受検者の割合が7.3%でした。いずれも受検生の実力が素直に反映されたテストだったのではないかと予想されます。

問題は、国語・英語・理科です。国語は得点のピークがなんと90点~94点、85点以上の受検者の割合が49.6%でした。受検生の5割が85点以上と云うテストでした。来年以降は少し是正されるでしょうが、平均点の推移を見ても、先述のように失点が許されない教科であると思っておかねばなりません。

次に英語です。ここ何年間か、巷間言われる学力の2極化が一番表れている教科だと感じています。一応グラフのピークは84点~87点、80点以上の受検者の割合が30.0%に上がった(昨年は25.6%)と教育委員会のコメントにありますが、80点以下は44点あたりまでなだらかな高原状態になっており、新しい英語教育についていけてない生徒が多いのではないかと懸念されます。2こぶラクダ状態にこそなっていませんが、よく理解している少数者とその他大勢になっていなければ良いが、と思わされます。通知表で4をもらうことが難しくなっているのではないでしょうか。同じようなグラフが理科です。理科も分布のピークが72点~75点とは言うものの、ほとんど高原状態で、ピークのある山にはなっていません。理科もここ数年、このような形のグラフになっており、指導要領改訂以降、公立中学3年生の理科の学力が少し心もとない状況になってきているのでは、と心配になってきます。英語・理科に端的に表れているように学力中間層の厚みが以前に比べ薄くなってきているのでないかと思わざるを得ない結果になりました。

男女別の定員枠が撤廃されたことと、ESAT-Jについては、高校入試の仕組みの説明の折に言及します。

次に私立です。
私立高校は、一昨年→昨年(約3,100人増)、昨年→今年(約1,900人増)と応募者を増やしています。これは男女校(共学校+別学校)の人気の反映で、男子校・女子校では応募者数を減らしています。

女子校と云えば、2022年度に豊島岡女子が高校募集を停止したことが大きな話題になりました。これにより成績最上位の女子が女子校を目指す場合、慶応女子一択と云う状況になりました。これは成績優秀な女子を中学受験へ向かわせる大きな要因となっています。

さてそれではどのような高校が受験生を集めているのでしょうか?一般受験応募者数上位10校を示します。「うん?私立人気って付属校人気ではなかったの?早大学院しか入っていないではないか」と思いませんか?(国学院は内部進学率20%、明治学院は40%でほぼ進学校です)

一般的に言って、多くの受検生を集める学校は「併願」の制度を持っている学校が多いですね。成績の基準を満たせば、かなりの確率で合格が見込める学校です。もちろん学校自体に魅力があると云うのが大前提ですが、この「併願」制度を利用すれば、第一志望校の合否が判明するまで入学手続きを待ってもらえるので、多くの受験生を集めることが可能になるわけです。

そこでこんどは倍率上位10校を見てみると以下のようになります。ここでは確かに錚々たる付属校がランクインしており、付属校人気を裏付けています。

私立人気にはいろいろな側面があるとかんがえれられます。

・コロナ禍への対応の迅速さ
・公的補助の充実
・学校改革に対する保護者・生徒の期待 等々

3つ目の項目に関しては「東京女子学園」が今年度に共学化し「芝国際」と名前を変えて教育内容も刷新することをアナウンスしたところ、昨年2桁だった応募者数が800人にまで急増した、と云うのがよい例かと思います。

いま生徒たちの前には多岐にわたる選択肢があります。その中から自分に合った道を選ぶためには、しっかりとした成績の裏付けが必要です。適切な情報を入手しつつ、日々の学習に励んでいただきたいと思います。

さて、2023年度の状況を簡単にご紹介するつもりが随分長くなってしまいました。今回は一旦ここらで切り上げて、高校入試の仕組みについては稿を改めることにいたします。

近日中に「高校入試-東京都②」をアップいたします。しばらくお待ちください。

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