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中学入試のいま

2024年04月18日 15:00:00

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イベントその他

2024年度中学入試を終えて

春期講座も終わり学校でも新しい学年の授業が始まりました。今回のひのき通信では中学入試についての記事をお送りします。なお、記事中に引用する数字は主に合判模試を主催する「首都圏模試センター」がHPに公開している推定値を使用させていただきます。また、中学受験についての記事は2023年3月31日にも書いておりますので、よろしければそちらもご参照ください。

◆2023年3月31日の記事:中学受験という選択
https://www.hinoki-net.com/info/list/detail/n/537/

さて学校基本調査によると今年の小学校卒業生は首都圏の1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)で約289,000人、昨年は約294,000人でしたので5,000人ほど少なくなっています。
にもかかわらず首都模試センターの推計によれば、私国立中学の受験者数はわずか200名減の52,400名だったそうです。これは昨年の52,600名に続き過去2番目の受験数です。
3回目と言われている中学受験ブームは継続していることが良く分かります。

このブーム、1回目はバブル景気の波に乗って、2回目は「ゆとり教育」への反動として起こったものだと言われています。ところが今回のブームは確たる原因が見当たりません。「大学入試改革への不安から」とか「コロナ禍への対応の公立私立の対応の差」etcいろいろ言われますが確たるものではありません。筆者などは、これはもはやブームではなく中学受験の多様化・一般化が定着した結果ではないかとも思っています。いすれにせよ公立中高一貫校を含めると中学受験(検)に挑戦した小6は約62,000名にもなり、受験(検)率は約21%にもおよびます。約5人に一人の受験率です。また直近の進路調査によれば私立への進学率が3割を超える区が都内11区に及ぶと云うことです。3割を超えるとなると約3人に1人の割合と云うことになります。驚くべき数字です。

さて、今年の中学受験のトピックは中堅校の大幅な受験者増だと言われています。昨今、新しい教育指導要領の考え方を積極的に取り入れた探求型の学習や、今後の国際化を見据えた教育に力を入れ、独自の魅力を発信している成績中位の学校が多くなっています。こうした学校が多くの受験生・保護者の支持を集めているのです。以前のブームでは多くの受験生が、より偏差値の高い学校を目指して鎬を削る云う側面が強かったのですが、大きく様変わりしたと言えるでしょう。

これは現在の保護者の皆様が第1次受験ブームの当事者であったことも大きく影響しているように思います。受験にも私立中学にも詳しく、以前のようにガムシャラに偏差値上位の学校を目指す受験勉強をする(させる)のではなく、我が子に合った教育を見据えて学校選びをするようになったことが背景にあると考えられます。

わが子に合った受験・学校は必ずしも偏差値の高い学校とは限りません。また大学への進学実績も気になる指標ではありますが、いまとなってはそれだけが優先事項ではありません。となると受験勉強の仕方も変わってきます。小学校生活のすべてを犠牲にして家族一丸となって受験に向かうなどというスタイルはもはや過去のものと言ってよいでしょう。

ところが一方で塾通いの低年齢化は益々進んでいます。「なるべく早くから塾通いを始めないと中学受験は無理」という空気が蔓延しているようにも見えます。でも本当にそうでしょうか?筆者などは長年の塾講師としての経験から中堅校なら小5からの受験勉強で十分間に合うと思っていますし、所謂難関校でも小4からしっかり準備をすればほとんどの場合大丈夫だと考えています。

ただ中堅校と言っても上記のように大きな支持を集めているところもあり、こうした学校では非常に倍率が高くなっているため、安心のためなるべく早くからという心理になるのもよくわかります。

個々の生徒毎に基礎学力も異なりますし、受験勉強に費やすことのできる時間も異なります。まわりの情報に躍らせれることなく、自分の状況をしっかり見極めて、どういう受験をしたいのかを良く考えて臨みたいものです。

塾の先生に相談を持ち掛けるのも手です。どのような学習がどの程度必要か、通塾を検討している塾の先生に率直に聞いてみてください。その生徒さんに合った受験勉強をアドバイスしてくれるはずです。

小中学生の皆さんに授業をしていると、新しいこと教科書に載っていないことを教えようとしたときに「目を輝かす子」「メンドくせぇなぁという表情をする子」がいます。1対1で話をしてあげないと、説明が耳に入っていかない子も最近ますます多くなってきているように思います。

また、むかし何かの講演で「今の子が立体図形の認識が苦手なのは幼いころに自然の中で遊ぶことが以前に比べて少なくなっているからだ。3次元の感覚が身に付いていない」と講師の方が分析しておられて、なるほどと思ったことがあります。「勉強する」とはいわば自分の体験を抽象化していく作業と言ってよいでしょう。抽象化してそれが腑に落ちるためには、多くの具体的な体験が必要なのだと思います。

これからは社会人としても必要なスキルはどんどん変わっていくことでしょうから、子供のころに身につけておかねばならない基礎·基本も以前とは同じではないでしょうが「こどもの仕事は遊ぶこと」と云う俚諺はいつになっても有効なのではないかと思います。

受験勉強以前に「知的好奇心の芽」「コミュニケーション能力」を育むような生活体験が子どもには必要です。受験勉強を「♪砂をかむよな味気ない♪(古い!)」ものではなく、楽しい知的好奇心に満ちたものにするためにも、小学生としての生活を大事にしながら、学習に取り組んでいきましょう。

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