2019年度が始まって、1か月半が過ぎました。2020年はもう目の前です。楽しみですねぇオリンピック……ではなくて(^^)、今日は教育改革のお話です。
大学入試が2020年度から「センター試験」から「大学入学共通テスト」に変わるのは、もう多くの方がご存知だと思いますが、これは大きな教育改革の流れの中のひとつの側面にすぎません。そしてこの大きな流れは、2018年度から「移行措置」と云う形で小学校・中学校にも影響を及ぼし始めているのです。
今日は小学校(2020年度施行です)から始まって、中学、高校と順次施行される「新学習指導要領」について少しお話させていただきます。
◆学習指導要領とは
そもそも「学習指導要領」って何でしょう?
これは文部科学省が学校教育法等に基づいて定めた学校教育の基準となるもので、全国のどの地域でも同じ水準の教育が受けられるようにするために制定されるものなのです。ほぼ10年に1度の頻度で改訂されます。
社会的にも大きな話題を呼んだ「ゆとり教育」も約20年前の指導要領の改訂に規定されていたものでした。今回の改定は、その「ゆとり教育」が導入されたときに勝るとも劣らない大きな改革と言われており、小学生から大学生まですべての生徒・学生に大きな影響を及ぼします。
◆3つの学力
新しい学習指導要領では、すべての教科を通して育成すべき資質・能力を
①.知識および技能
②.思考力・判断力・表現力等
③.学びに向かう力、人間性等
の3つに整理しています。そして「何を教えるか」だけでなく、子どもが「何ができるようになるか」が大事だとし、指導すべきことを要領の中に明確に示しています。
例えば、「中1数学正負の数」においては、以下のような記述があります。
***********************************************************************
正の数と負の数について,数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 正の数と負の数の必要性と意味を理解すること。
(イ) 正の数と負の数の四則計算をすること。
(ウ) 具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりすること。
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 算数で学習した数の四則計算と関連付けて,正の数と負の数の四則計算の方法を考察し表現すること。
(イ) 正の数と負の数を具体的な場面で活用すること。
***********************************************************************
学校の先生方に「できるように指導すること」と云う指示が出ているわけです。これは、これまでにはなかったことです。
◆主体的・対話的で深い学び
これらの資質・能力を育成するために授業を改善し「主体的・対話的で深い学び」を実現することを目指しています。これについての文科省の説明を見てみましょう。
〔主体的な学び〕
学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる学び。
〔対話的な学び〕
子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める学び
〔深い学び〕
習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学び
これについて文科省は、小・中学校においてはこれまでの教育実践において蓄積されてきたことであり、新しい授業方法を導入する必要はない、と解説していますが、少なくとも親の世代が経験してきた「学び」とは少し質の異なる「学び」が指向されていることは間違いないでしょう。
進学教室を運営する私たちとしては、こうした教育の変化がどのように高校入試・中学入試に影響してくるかが最も気になるところです。毎年の入試問題の分析をとおして得られた知見を、日々の授業に活かしていかなければ、と考えています。
長い記事になってしまいましたので、今日はひとまずここまでにします。今後、各教科のポイントなどもお知らせできればと考えておりますので、どうぞお楽しみに。
〔ひのき進学教室 教務担当〕
もっと具体的なことが知りたい方・実際にご相談をご希望の方は、
下記よりお申し込みください